廃業相談①~NPO法人を解散させます
いままで運営してきたNPO法人ですが、解散し、任意団体でまた活動を始めようと思います。
HPからこのようなお問い合わせをいただきました。
早速ご相談にのらせていただきますと、
「もう何年も活動をしております。毎年事業報告も提出しております。NPO法人設立時から代表として支えてきた方が引退されるタイミングなのですが、運営メンバー皆で相談し、NPO法人を解散することにしました。」
NPO法人を解散する、となると、監督官庁への解散の手続き、法務局への解散・清算人就任登記の手続き、官報公告、税務署や都道府県税事務所等への申告等、多岐にわたる業務が発生します。
行政書士としては、お手伝いできる部分ももちろんあるのですが、司法書士や税理士等他の専門家との連携も必要となる業務となります。
まずは、社員総会において、解散の決議と清算人の選任をしていただく必要があります。社員が20名程度で、数週間後に既に社員総会を開くことを決定しておられました。
「清算人は代表理事の方がなられるご予定ですか?」
という問いに対し、
「事務局長である私がこれまでの都道府県への報告や法務局回り、税理士とのやりとり等、諸々の手続きを事実上行って参りました。代表はご高齢で実務的なことをお願いすることも難しいと思いますので、私の方で最後閉める業務も行いたいと考えております。」
このような回答をいただき、私自身、内心では「よかった、これでスムーズに進められそうだ」、と思ったものです。
清算人を選任していただき、その後は法務局への解散登記・清算人就任登記、都道府県知事への解散届の提出を行っていただきます。また、解散の官報公告を行っていただく必要があります。
官報公告は、あまり馴染みがないかもしれませんが、法人解散時には必須の手続きとなります。1回あたりの手数料も3~5万円程度かかります。以前は3回打つ必要がありましたので、それだけで手数料は10万円程度になるのが通常でした。現在は法改正がなされているので、解散の官報公告は1回で済みます。
「NPO法人は都道府県への手続きや法務局の手続き等で、印紙や手続き手数料を取られないのに、解散するときだけはこんなお金がかかるんですね。。。しかも、公告の効力発生まで2か月も待たないといけないんだ。。。」
解散公告を行った経験がない方が通常ですので、NPO法人の解散手続きの場合に多くの方が上記の感想を述べられます。今回も同じでした。
また、事業年度途中での解散となったため、解散日までの決算報告書を作成いただき、税務署等へご提出いただく必要があります。この点は顧問税理さんがとても丁寧にお手伝いいただいたようでした。
解散公告の公告期間が満了すると、債権債務関係の確認や残余財産の処分等について清算人が処理を行うこととなります。今回は、債権債務も残余財産もありませんので、あとは解散後、清算手続き完了日までの決算報告書を作成し、清算結了の総会を開催していただきます。総会が終了すれば、法務局において清算結了の登記を行い、監督官庁に清算結了の届の提出、税務署等へも清算結了の届を出していただき、すべての手続きが完了となります。
今回、債権債務もほとんどなく、処分すべき財産も実質的になかったこと、顧問の税理士さんのご協力もいただけたので、とてもスムーズに手続きが進み、お話から約3ヶ月程度での解散・清算手続き完了となりました。
法人解散後は任意団体として、NPO法人時代の前理事長のやり方とは違う形で、今回の事務局長(清算人)を中心として、組織運営を続けていらっしゃるようです。