起業相談⑤~日本にない学会を作りたいのです!
5年ほど前の話です。
いつもお世話になっている某法人の会長さんよりお電話をいただきました。
「森さん、私の知り合いなんだけど、新しく法人を作りたいみたいなんだよね。直接連絡いくと思うので、ちょっとお話聞いてもらえる?」
お電話をいただき、すぐにメールにてご相談のご連絡をいただきました。
ご指定の日時に、提携する司法書士の先生と一緒に伺ってみると、女性が3名、いらっしゃいました。
今、日本に存在しない、今の日本に必要な学会を作りたいのです。
お話を伺ってみると、3名とも、大学や医療機関でお勤めの先生方です。
「森さん、国内で、『発達支援』の分野はまだまだ遅れています。支援者は孤立し、連携がうまくいっていません。その分野で日本に存在しない、学術団体の設立が必要なんです!!」
とても熱く語られるお三方。その熱意に、こちらが押されてしまいます。一方で、まるで漫才を見ているかのような、3名の掛け合いがとても面白い。ぼけているのか、本気なのか、よく分からないまま、とても笑顔が多く、面白い方々。私が関与させていただいている「学会(学術団体)」とは、少し違う独特な感じを受けました。
森さん、団体が乗っ取られることって、本当にあるの?!
ご相談の趣旨として、NPO法人がいいのか、一般社団法人がいいのか、任意団体でいいのか、というお話がありました。それぞれのメリット・デメリットをご説明させていただきながら、それぞれの手続きのお話をさせていただきます。
「森さん、聞くところによると、せっかく法人を立ち上げても、乗っ取られるようなこともあるとか。そういう防衛策は絶対に行いたいんです。」
設立の段階で、この点を心配される方はどちらかというと少ないですが、私のクライアントの株式会社や非営利法人の中で、実際に起こりそうだった(未遂で終わった)事案がいくつもあります。
「NPO法人の場合、原則として法人としては、法人の趣旨に賛同し、入会したい方を法律上・定款上排除することはできませんし、条件を定めることはできません。なので、NPO法人の場合は、悪意を持った方が、仲間を引き連れて乗っ取る、ということはもしかしたら可能かもしれません。」
「株式会社の場合、出資や株の譲渡が必要になりますので、お金を積めば、場合によっては株主として会社を乗っ取ることは可能になります。」
「一般社団法人の場合、NPO法のような制限がないので、定款で例えば合理的な制限(例 ある資格を有する方に限る、とか、既に法律上の社員になっている方〇名以上の推薦がないといけない、とか、会費をいくら支払わないといけない、とか。それらの組合せも可能)を加えることで、防衛策を張ることは理論上可能です。」
そんなご説明をさせていただきながら、お客様が最終的に選ばれたのは、一般社団法人でした。
現在では、賛同者が年々増えており、会員数も400名を超え、収支も安定してきており、防衛策も不要(笑)なくらい、温かい方々に支えられながら、社会的に必要とされている活動をされています。当方も監事・顧問として継続的に支援させていただいております。